『感謝と思いやりが溢れる社会の実現』

　心の治療は、治療者と相談者の心が交流することで進みます。この過程で、相談者はこれまで気づけなかった自分の側面に触れ、新たな視点を得ることができます。その結果、症状の軽減や問題解決、現実への適応など、治療的な効果が生まれます。さらに、より深い治療体験は、相談者の心に質的な変化をもたらします。自己中心的な捉え方や被害的な視点から離れ、これまで失ってきたものや傷つけてきたものに目を向けられるようになります。そうした気づきを通して、感謝や他者への思いやりが自然に芽生えることが知られています。

　このように、心の交流と深い理解は、単なる症状の軽減や問題解決を超え、人生全体に影響を与える大きな力を持っています。当相談室では、相談者の現実的な困りごとへの対応だけでなく、この質的な変化を重視しています。私たちは、カウンセリングや心理療法を終えた後も、その体験が相談者の心の中で生き続け、人生をより豊かにするものであってほしいと考えています。その変化はやがて相談者を取り巻く人々へと広がり、社会全体に還元されていくからです。
　私たちは、こうした取り組みを通じて『感謝と思いやりが溢れる社会の実現』を理念としています。

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