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​訓練について

ハト
ハチ

​精神分析臨床の訓練

 精神分析は、19世紀後半にジグムント・フロイトによって考案された心の治療モデルです。現代においても伝統的な精神分析は受け継がれ、欧米や南米を中心に臨床実践が続けられています。日本でも、精神分析の理論を基盤としたカウンセリングや心理療法が広く行われており、その実践は医療だけでなく、学校教育、子育て支援、福祉など多様な分野に広がっています。

 精神分析に基づくカウンセリングや心理療法は、心の深層を理解する高度な専門性を必要とするため、習得には体系的な訓練が不可欠です。具体的には、①精神分析理論の学習、②臨床ケースに対するスーパービジョン、③自身が体験する精神分析・パーソナルセラピー、④精神分析的乳幼児・幼児観察という4つの柱を含む訓練が求められます。しかし、これらすべての訓練を十分に受けたカウンセラーは多くはありません。

​①理論の学習

 相談者の心を理解するためには、カウンセラー自身の経験や考えだけに頼るのではなく、長い時間をかけて積み重ねられてきた先人たちの理論や知見に触れることが重要です。フロイトの古典的な精神分析理論から現代の理論まで幅広く学ぶ必要があり、さらに発達心理学、臨床心理学、神経心理学、精神医学といった関連分野の知識も欠かせません。加えて、文学や芸術、人類学など多様な分野を通じて心を理解する姿勢も求められます。

②スーパービジョン

​ スーパービジョンはカウンセリング・心理療法のケースに対するスーパーバイザーからの実施指導です。長い臨床実践があるスーパーバイザーとケースについて検討することで俯瞰的な視点を回復するとともにカウンセリング・心理療法の中で展開される心の動きについての理解が促されます。カウンセラーの公平で中立的な態度が維持され、質の高いカウンセリング・心理療法に貢献します。なお、スーパービジョンは倫理規定に沿って行われるため、相談者の個人情報は伏せられ、守秘義務は徹底されます。

③精神分析・パーソナルセラピー

 カウンセリングや心理療法では、相談者の心を理解するために、カウンセラーは自らの心を“道具”として用います。相談者の語りを言葉として理解するだけでは不十分であり、言葉にならない想いや苦しみを、カウンセラー自身の心を通して感じ取り、理解する必要があります。

 そのため、カウンセラーには、自分自身の心の動きを繊細に捉え、深く理解する訓練が求められます。具体的には、精神分析家による精神分析や、精神分析的心理療法家によるパーソナルセラピーを通して、自身の心を探究する取り組みが重要とされています。

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④精神分析的​乳児観察・幼児観察

 乳幼児観察は、週1回・1時間、ご家庭で赤ちゃんの様子を2年間にわたり観察します。幼児観察は、2歳から4歳までの子どもを対象に、保育園で週1回・1時間行います。これらの観察を通して、人の心がどのように形成されていくか、また言葉を獲得する前の心の交流について学びます。

 大人の心の中にも、乳幼児期の心の要素は存在しており、カウンセリングや心理療法の場ではそれが活性化されることがあります。そのため、乳幼児観察・幼児観察は、心理臨床の基礎を理解するための重要な訓練の一つとされています。め

ハリネズミ
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