なぜ、不安に襲われるのか
- ロンドン心理相談室
- 2025年12月17日
- 読了時間: 3分
胸の奥で突然ざわめき、心が理由もなく締めつけられる――その感覚が、不安です。日常に突然現れる影のような存在、不安は誰もが経験するものですが、フロイトはその正体を、心の奥深くに潜む無意識の世界に求めました。
■ 無意識に潜む願望と衝動
フロイト(1856–1939)によれば、人の心は二層構造のようになっています。意識の下にある無意識には、私たち自身も知らない衝動や欲望、恐れが潜んでいます。
不安とは、無意識に抑圧された衝動が、意識に迫るときに発せられる警報のような信号です。例えば、社会の規範や道徳のために押し込めた怒りや欲望が、直接表現できないまま心の奥でうごめき、胸のざわめきや落ち着かない感覚として現れるのです。
つまり、不安を感じるとき、心は「ここに抑えられた感情がありますよ」と知らせているのです。
■ 抑圧と防衛のはざまで
フロイトはまた、人が不安を感じるのは、心が自分を守ろうとする働きと関係していると考えました。私たちは無意識の衝動を直接出すことができないため、心は防衛機制を働かせます。
しかし、防衛が完全でないとき、不安は表に出てきます。抑圧された欲望と防衛の間で生じる“隙間”こそが、私たちを不安で揺さぶるのです。
この構造を知ると、不安は単なる恐怖ではなく、心が自己を守ろうと必死に働いているサインだと理解できます。
■ 無意識の声としての不安
フロイトにとって、不安は単なる嫌な感情ではありません。それは無意識の声そのものです。日常の中で見過ごしてしまった欲望や衝動、言葉にできなかった感情が、体や心を通して静かに訴えかけています。
胸のざわめきや落ち着かない感覚は、「あなたは何かを避けている」「抑えている」という無意識のメッセージなのです。
■ 不安は、心の自己調整のサイン
不安に襲われたとき、それをただ避けたり否定したりするのではなく、フロイトの視点では、それを受け止め、意味を探ることが重要です。
不安は心が自己を守るために発しているサインであり、無意識の深層にある自分自身と向き合うきっかけでもあります。不安を理解し、無意識の声を聴くことで、心は徐々に整理され、安定を取り戻すのです。
■ まとめ
不安とは、単なる恐怖ではなく、心が生き延びるために必死で働く信号です。フロイトはその背後にある無意識の衝動や抑圧、そして防衛のメカニズムを明らかにしました。
胸がざわめき、理由もなく落ち着かなくなるとき、それは心が自分自身を守り、調整し、成長しようとしている瞬間です。不安は、私たちの心が無意識と対話するための、静かで強力なサインなのです。
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