苦しさが戻ってきたとき――アダルトチルドレンのための精神分析的視点
- ロンドン心理相談室
- 2025年12月17日
- 読了時間: 3分
アダルトチルドレンの人が精神分析を進めていくと、心の内側に少しずつ変化が生まれていきます。
過度な緊張が和らぎ、相手に合わせすぎる癖が弱まり、「自分はどう感じているのか」が以前よりはっきりしてくる。
しかしその途中で、突然、かつての苦しさや混乱が再び姿を見せることがあります。
過剰な敏感さ
相手に捨てられるのではという恐れ
無意識に相手を気にしすぎる癖
理由の分からない焦りや不安
こうした“古い反応”が急に戻ってくると、多くの人は戸惑い、
「やっぱり自分は変われていないのではないか」
と感じるものです。
しかし精神分析の視点では、この“揺り戻し”は後退ではありません。むしろ、変化のプロセ
スに欠かせない自然な動きとして理解します。
1. アダルトチルドレンの変化は特に「波のように」進む
アダルトチルドレンの背景には、子どもの頃の関係で形成された深いレベルの対人パターンが存在します。
「自分を消して相手に合わせる」「見捨てられないよう全力で気を配る」「本音より相手の期待を優先する」
こうしたパターンは長年の生存戦略でもあったため、完全に消えるのではなく変化とともに波のように行き来します。
揺り戻しは、この深いパターンが“別の層”で現れてきたサインです。前と同じように見えても、実際にはより深い地点を扱っていることが多いのです。
2. 昔の防衛が顔を出すのは、心が不安定になったからではない
アダルトチルドレンの多くは、子どもの頃に身につけた防衛を“自動的”に使います。
すぐ過剰に気を使う
自己犠牲的に振る舞う
相手の表情で自分の価値が変わるように感じる
変化が起こると、心はこれまでの防衛の一部を手放そうとします。しかし、防衛を緩めることは新しい世界に一歩踏み出すことでもあり、心はときどき古い防衛へ戻ろうとする。
これは“安全確認”のようなものです。
古い反応が出たからといって、変化が無効になったわけではありません。
3. 苦しさを観察すると、パターンがより精密に見えてくる
アダルトチルドレンの揺り戻しには、必ず“理由”がありますが、その理由はいつも目に見えるわけではありません。
苦しさが戻ったときにすぐに押し込んだり否定したりせず、
「何が引き金だったのか」を観察することが重要です。
どんな相手とのやりとりで起こったか
どの瞬間に昔の感覚が蘇ったか
体のどこが反応しているか
どんな恐れが背景にあるか
こうした観察は、アダルトチルドレンに特有の“対人パターンの細部”を浮かび上がらせます。
これは、分析がより深まるチャンスです。
4. 苦しさが戻るのは、「古い物語を更新するタイミング」が来たということ
アダルトチルドレンの人は、「親との関係」を軸にした古い物語を持っています。
“怒らせてはいけない”
“見捨てられないように気を張る”
“相手が何を感じているか常に気にする”
苦しさが再来するとき、その物語が新しい状況とぶつかり、“更新の必要がある”と心が知らせている場合があります。
つまり揺り戻しとは、問題が再発したのではなく、物語を書き換えるタイミングが来たサインなのです。
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